友人や取引先が、念願のカフェをオープンする。お祝いを贈りたいけれど、胡蝶蘭はほかの方からも届きそうだし、置き場所に困らせるかもしれない。そんなときに候補になるのが、「花以外」の贈り物です。

私たちは、1950年から京都で旗・暖簾・法被をつくってきた旗屋です。近年は飲食店やサロンの制服も手がけ、新しくオープンする飲食店のユニフォームに、自社のエプロンをご採用いただいたこともあります。店で毎日使うものをつくる立場から、開店祝いにエプロンを贈るときの選び方をお伝えします。

贈り物を選ぶときは、受け取った瞬間の喜びはもちろん、その後も店で気持ちよく使ってもらえるかまで考えたいものです。見た目が気に入っても、仕事の動きや洗濯の頻度に合わなければ、出番が少なくなってしまいます。

この記事では、開店祝いの相場やのしのマナーを押さえながら、エプロンが贈り物に向く理由と、長く使ってもらうための選び方をご紹介します。相手の店や働く姿を思い浮かべながら、一着を選ぶ参考にしてください。

カフェの開店祝いに「花以外」が選ばれる理由

花以外の贈り物を考えたい、3つの理由

花以外の開店祝いを考える背景には、置き場所や手入れ、長く使えるかどうかといった事情があります。

1. お祝いの花が重なることがある

スタンド花や胡蝶蘭は、開店祝いの定番です。そのぶん、複数の方から同じようなお祝いが届くこともあります。すでに花を贈る方がいるとわかっているなら、別の品を選ぶのも一つの方法です。

2. 置き場所と管理の負担がある

店先に飾るスタンド花は、直射日光が当たる場所や夏場には傷みやすく、飾り終えたあとの回収手配も必要です。店内に置く胡蝶蘭も、エアコンの風や温度差に気を配る必要があります。オープン直後の忙しい時期には、花の世話や置き場所の調整が負担になることもあります。

3. 長く手元に残るものを贈りたい

花には、限られた期間を華やかに彩る良さがあります。一方で、「開店の日の記念として、長く手元に残るものを贈りたい」と考えるなら、日々使える道具や雑貨も候補になります。

花には、開店を周囲に知らせる良さもある

花にも、開店祝いならではの良さがあります。店先を華やかに彩り、通りかかった方に新しい店のオープンを知らせるきっかけになることです。

開店時の華やかさを添えたいなら花を、日々の仕事に役立つものを贈りたいならエプロンなどの道具を。相手の希望や、ほかの方が贈るものも踏まえて選ぶと良いでしょう。

エプロンを贈る前に確認したい、予算・のし・贈る時期

予算は相手との関係性に合わせて考える

開店祝いの予算は、相手との関係性をもとに考えるのが一般的です。地域やお付き合いの深さによっても変わるため、次の金額は目安として参考にしてください。

相手との関係 金額の目安
知人・軽いお付き合い 5,000円〜10,000円
友人 10,000円前後
取引先 10,000円〜30,000円
特に重要な取引先 30,000円〜50,000円
家族・親族 10,000円〜50,000円

品物を贈る場合は、目安の金額にぴったり合わせる必要はありません。予算を踏まえつつ、相手の店で使いやすいか、好みに合っているかも大切にしてください。

のしは「紅白蝶結び」、表書きは「御開店御祝」など

のしを付ける場合は、紅白の蝶結び(花結び)の水引を選びます。表書きは「御開店御祝」「御開業御祝」または「御祝」とし、水引の下に贈り主の名前を書きます。

開店前を目安に、受け取りやすい日時を確認する

開店前に届くよう、余裕を持って手配しましょう。ただし、直前は準備に追われる時期でもあるため、相手が受け取りやすい日時を確認しておくと安心です。開店後に贈る場合は、1〜2週間以内を目安にしましょう。

名入れを希望する場合は、製作にかかる日数も確認してください。開店が迫っているなら、既製品を選ぶ方法もあります。

開店祝いにエプロンを贈るという選択|3つの理由

日々の仕事で使える開店祝いとして、エプロンには次の3つの良さがあります。

1. サイズを選びやすい

衣類を贈るときに迷うのが、サイズ選びです。シャツやジャケットは、相手のサイズがわからないと選びにくく、合わなければ着てもらえないこともあります。

その点、エプロンは紐で腰まわりや着丈を調整できるものが多く、サイズを選びやすいのが魅力です。男女を問わず使えるデザインも多く、衣類のなかでは贈り物にしやすいアイテムです。

ただし、調整できる範囲は商品によって異なり、丈の見え方も身長や体格で変わります。購入前に寸法を確認しましょう。詳しくはワークエプロンのサイズ選びにまとめています。

2. 日々の仕事で使ってもらえる

仕込み、接客、閉店後の清掃と、カフェの仕事にはエプロンを使う場面がたくさんあります。仕事に合う一着なら、日々の作業で活躍してくれます。

飾って楽しむ贈り物にも良さがありますが、エプロンは毎日の仕事に役立つ贈り物です。使ううちに愛着が湧き、贈ってくれた方を思い出すきっかけにもなるでしょう。

3. 開業準備で後回しになりがちなものを贈れる

開業準備では、物件や内装、厨房設備などに大きな費用がかかります。手続きや準備に追われるなかで、身につけるものまでじっくり選ぶ余裕がないこともあります。

そのため、エプロンなどの身の回りの道具は、ひとまず手元にあるもので済ませる場合もあるでしょう。使いやすさや好みに合う一着を贈れれば、店主が自分では選びきれなかったものを届けられます。

自分では購入を後回しにしていても、あれば日々の仕事に役立つもの。そんな贈り物なら、新しい店のスタートをさりげなく応援できます。

制服をつくる側から見た、贈ったエプロンが長く使われる3つの条件

エプロンを贈るなら、見た目の好みだけでなく、店でどう使ってもらうかまで考えておきたいところです。

私たちは制服の製作を通じて、店の方が毎日着るものをどのように選ぶのかを伺ってきました。その経験から、贈り物のエプロンを長く使ってもらうために大切だと考えるのは、次の3つです。

条件1:店主個人の一着として、使う場面を考える

まず考えたいのは、誰が、どの場面で使うかです。

飲食店では、店の雰囲気を揃えるために、スタッフ全員が同じエプロンを着けていることがあります。その場合、1枚だけ違うエプロンを贈っても、営業中には使いにくいかもしれません。

制服が決まっている店には、次のような使い方を想定して贈ると良いでしょう。

店主が仕込みや開店前の準備、買い出しなどで使う、個人の一着として贈る。

営業中は制服を揃えていても、仕込みや翌日の準備など、店主が一人で作業する時間には別のエプロンを使える場合があります。普段の働き方を知っていれば、使ってもらえる場面も思い浮かべやすくなります。

一着を贈るなら、「朝の仕込みのときにでも使ってください」と添えてみてください。使う場面が伝わり、相手も気負わず受け取りやすくなります。

条件2:繰り返しの洗濯に適した生地を選ぶ

飲食店のエプロンには、油やコーヒー、ソースなどの汚れが付きます。清潔に使うため、週に数回、場合によっては毎日洗うこともあります。

繰り返し洗ううちに、生地が薄くなったり、紐の付け根がほつれたりすると、仕事では使いにくくなります。素材の名前や見た目だけで判断せず、生地の厚みや縫製、洗濯方法まで確認しておきましょう。

私たちのMAKU.やHANNOREN.には、十番天竺という生地を使っています。法被や暖簾にも使われる生地で、しっかりとした厚みとしなやかさがあり、摩擦や洗濯にも強いのが特徴です。旗や幕をつくってきた経験を生かし、日々の作業に使える素材として選びました。詳しくは十番天竺とは?特徴や魅力をプロがわかりやすく解説をご覧ください。

デザインとあわせて確認したいのが、生地の厚みと洗濯表示です。洗濯機で洗えるか、特別なお手入れが必要かなど、店で無理なく洗って使えるものを選びましょう。日々のお手入れについてはエプロンの正しい洗い方・お手入れ方法で解説しています。

条件3:仕事の内容や動きに合う形を選ぶ

同じカフェでも、ホールで接客する方と、厨房で調理する方では、使いやすい形が異なります。

業態・役割 向く形 理由
バリスタ・ホール中心 腰巻き(サロン型) 着脱が速く、上半身が軽い
厨房で調理する 胸当て(ビブ型) 油はねから胸元を守る
パン・菓子の製造 胸当て+長めの丈 胸元から裾まで、粉による汚れを防ぐ
和食・和カフェ 割烹着型・腰巻き 割烹着は袖まで覆え、腰巻きは和の装いにも合わせやすい

胸当てか腰巻きかで迷ったら、店主が普段どんな作業をしているかを思い浮かべてください。接客や着脱のしやすさを重視するなら腰巻き、胸元への汚れを防ぎたいなら胸当てが候補になります。詳しくはカフェエプロンの選び方をご覧ください。

2026年4月28日にオープンした、よーじやグループさまの十割蕎麦専門店「10そば 京都市役所ててまち店」と「26(にーろく)ダイニング 京都市役所ててまち店」では、私たちのエプロン「MAKU.」をスタッフのユニフォームにご採用いただきました。「京都の生産者さんとつながるお店」というコンセプトのもと、製作をご依頼いただいたものです。

こちらは開店祝いとしてのご注文ではありませんが、新しい飲食店で毎日着るユニフォームとして選んでいただいた事例です。贈り物を選ぶ際にも、仕事での使いやすさを考える参考にしていただければと思います。

開店祝いに選ぶエプロンの5つのチェックポイント

購入前には、次の5つを確認してみてください。

① 生地の厚みと素材

繰り返しの使用や洗濯に適した生地かを確認します。綿100%で、ほどよい厚みとしなやかさがある十番天竺や帆布も候補です。乾きやすさなども含めて、作業内容に合う素材を選びましょう。火の近くで使う場合は、素材だけでなく、裾や紐が火元に近づかない形かも確認してください。

② 色

開店祝いでは、赤が「赤字」や「火事」を連想させるとして避けられることがあります。相手の考え方がわからない場合は、濃紺・藍・生成り・グレー・深い緑などを候補にすると安心です。SNSで店の内装写真や普段の服装を見ておくと、雰囲気に合う色を選びやすくなります。

③ 形(丈と身頃)

作業内容に合わせて、腰巻きか胸当てかを選びます。着脱のしやすさなら腰巻き、胸元まで汚れを防ぎたいなら胸当てが候補です。身長に対して丈が長すぎないか、しゃがむときや歩くときに邪魔にならないかも確認しましょう。

④ 洗濯できるか

洗濯表示を確認し、洗濯機を使えるか、色落ちに関する注意点はあるか、乾かす手間はどの程度かを見ておきます。日々のお手入れを無理なく続けられることも、長く使ってもらうための大切な条件です。

⑤ 産地やつくり手、技法の背景

「どこで、誰が、どうつくったか」がわかる品は、贈るときにその良さを伝えられます。「京都の旗屋さんがつくったエプロンなんです」といった一言が、店主とお客さまの会話のきっかけになることもあるでしょう。産地や技法の背景も、贈り物を選ぶ楽しみの一つです。

開店祝いに使えるエプロンをお探しでしたら、kiten.のエプロン一覧もご覧ください。すべて京都の工房で、引き染めから縫製まで手がけています。

店名やロゴを入れたい場合は、早めに相談を

「せっかくなら、店名やロゴを入れて贈りたい」というご相談もいただきます。既製品に刺繍やプリントを加えると、その店ならではの一着になります。

ただし、デザインの確認や製作には時間がかかります。開店の1〜2ヶ月以上前を目安に相談し、希望する枚数やデザインで対応できるか、いつまでに届くかを確認しておきましょう。

日にちが迫っている場合は、今回は既製品を贈り、名入れは周年祝いに検討する方法もあります。私たちも法人・団体向けに名入れや別注をお受けしていますので、法人・団体向けページからご相談ください。

開店祝いにおすすめのkiten.のエプロン

kiten.のエプロンには、旗・暖簾・法被づくりで培った生地選びや縫製の経験を生かしています。日々の作業や洗濯を考えた素材と、動きやすさに配慮した仕立てで、仕事の道具としての使いやすさを大切にしています。

開店祝いに向く3つのモデル

商品 価格(税込) 特徴 素材 色
MAKU. ¥13,750 幕の「絞り」から着想したハウスワークエプロン。紐で丈とシルエットを調整でき、深めのスリットでしゃがむ動作も妨げない。縦ラインのポケットと裏側ポケット付き 十番天竺・綿100%(布地) 藍/黄檗/檜皮色/錫
HANNOREN. ¥10,780 「半暖簾」を思わせるスリット入りのワークエプロン。腰まわりに多機能ポケットを備え、道具を整理して収納できる設計 十番天竺・綿100%(布地) 藍/黄檗
NOREN. ¥16,500 暖簾のスリットをバックとサイドに入れた割烹着。紐とスリットで通気性を調整できる 60番ブロード・綿100%(布地) 藍/錫

いずれも日本製で、生地を張って刷毛で染料を引く「引き染め」によって、表裏の両面を染めています。深みのある色合いが特徴です。染めの技法は引き染めとは?伝統の技法・工程と日用品における活用方法、MAKU.の開発背景は「MAKU.(マク)」のこだわりでご紹介しています。

HANNOREN.(¥10,780)とMAKU.(¥13,750)は、1万円台の予算で贈り物を探している方にも検討していただきやすい価格帯です。友人や取引先へのお祝いとして、予算や相手とのお付き合いに合わせてお選びください。

ギフトラッピングと直接配送について

  • ギフトラッピング: 1点あたり350円で承ります
  • 金額のわかる納品書などは一切同梱しません
  • 配送伝票の送り主には、ご注文者さまのお名前が入ります

直接お渡しできない場合は、店舗への配送も可能です。受け取りやすい日時を確認してから手配してください。複数点を包む場合は、商品数分のラッピングをカートに追加します。

開店祝いのエプロンに関するよくある質問

Q. カフェの開店祝いに、エプロンは相手に気を遣わせませんか?

A. 友人へのお祝いは10,000円前後、取引先には10,000〜30,000円が一つの目安です。1万円台のエプロンも候補になりますが、相手との関係や普段の贈り物のやり取りに合わせて、無理のない予算で選ぶと良いでしょう。

Q. 相手の店の制服が決まっているようです。それでも贈っていいですか?

A. 店主が仕込みや開店前の準備で使う、個人の一着として贈る方法があります。営業中の制服が統一されている場合は、別のエプロンを使える場面があるか確認しておくと安心です。「朝の仕込みのときにでも使ってください」と一言添えると、意図が伝わります。

Q. 開店祝いに赤いエプロンを贈ってもいいですか?

A. 赤は「赤字」や「火事」を連想させるとして、開店祝いでは避ける慣習があります。相手が気にするかどうかわからない場合は、濃紺・藍・生成り・グレー・深い緑などから選ぶと安心です。

Q. 相手のサイズがわからないのですが大丈夫ですか?

A. 紐で腰まわりや着丈を調整できるものなら、シャツなどに比べてサイズを選びやすくなります。ただし、調整できる範囲や丈は商品によって異なります。購入前に寸法を確認し、相手の身長や体格に合うものを選びましょう。

Q. 店名やロゴを入れたエプロンを贈ることはできますか?

A. 可能です。ただし、既製品への刺繍・プリントでも、デザイン確認と製作に時間がかかります。開店の1〜2ヶ月以上前を目安に相談し、具体的な納期を確認してください。日にちが迫っている場合は、今回は既製品を贈り、名入れは周年祝いに検討する方法もあります。

まとめ|「使われるかどうか」で選ぶ

開店祝いを選ぶときは、次の点を押さえておくと安心です。

  • 贈りたい気持ちに合わせて選ぶ。花は開店時の華やかさを添え、エプロンなどの道具は日々の仕事に役立つ
  • 予算は関係性に合わせる。友人なら10,000円前後、取引先なら10,000〜30,000円が目安
  • のしは紅白蝶結び、表書きは「御開店御祝」など。配送日は相手の都合を確認する
  • 色や品物の縁起にも気を配る。赤を避ける慣習などを踏まえ、相手の好みに合わせる
  • エプロンは、サイズを選びやすく、日々使える贈り物。開業準備で後回しになりがちな身の回りの道具を贈れる
  • 長く使ってもらうために、3つを確認する。店主が使う場面/繰り返し洗える生地/仕事の内容や動きに合う形

お祝いの気持ちが伝わり、半年後も、一年後も、店で使ってもらえる。エプロンを贈るなら、そんな一着を選びたいものです。

私たちは70年以上、使う方の仕事や暮らしを思い浮かべながら、ものをつくってきました。新しい店を始める方への贈り物も、その方が働く姿を想像しながら選んでみてください。

kiten.のエプロンを見る
京都・1950年創業の旗屋がつくる、道具としてのエプロン。ギフトラッピング(350円)承ります。
名入れ・別注のご相談は法人・団体向けページから。

著者
加藤 剛史(かとう つよし)
株式会社 加藤健旗店 3代目。1950年京都創業、旗・暖簾・法被の製造を70年以上にわたり継承。伝統的な染色と縫製の技術を現代の生活道具に落とし込んだライフスタイルブランド「kiten.」を展開。